志望校を下げる前に考えたい、「伸び悩み」の正体と乗り越え方

ジャンプする男子

E判定が続いているから、もう第一志望を目指すのは無理かな?

志望校を下げた方がいいのかな?

そんなふうに考えている高校生もいると思います。特に高3生、夏休みに本気で頑張ったあとで模試の成績表を見て、思うように上がっていなかったとき、「やってきたことが間違ってたのかも」「自分には届かないのかも」と感じてしまうこともあるでしょう。

でも実は、その「伸び悩み」にはきちんとした理由があります。しかもそれは「もう限界」というサインではなく、「これから伸びる準備ができた」というサインかもしれません。

この記事では、高校生によく見られる「プラトー(成長の停滞期)」という現象をもとに、志望校を下げる前に考えてほしいことをまとめました。呉市のような地方都市の公立高校生に特有の事情も踏まえてお伝えします。

今の頑張りをここで止めてしまわないよう、ぜひ最後まで読んでください。

この記事の結論
  • 模試の結果が悪いのは、努力が実っていないのではなく「力が溜まっている」時期の場合がある。
  • 志望校を下げる判断は、目先の成績だけで決めると後悔しやすい。
  • 呉の高校生におすすめなのが1ヶ月遅れで追いついていく「目標追加点」方式。
目次

志望校を下げたくなったら読んでほしいこと

見上げる男子と女子

模試の結果を見て「もう無理かも」と感じること、誰にでもあります。でも、ここで一番大事なのは「焦って決めないこと」。今の成績は最終結果ではなく、あくまで途中経過です。

少し立ち止まって、「なぜ伸びないのか」「何が起きているのか」を見直してみましょう。

まだ諦めるときじゃない、かもしれない

夏休み、あれだけ頑張ったのに、返ってきた模試でE判定。

そんなとき、ショックを受けるのも当然です。

「自分には第一志望校は無理なのかも」「頑張っても意味ないのかも」そんな考えが頭をよぎるかもしれません。

でも実際には、成績が伸びない時期というのは「努力が実っていない」わけではなく、力が溜まっている時期かもしれないのですよ。

学力は一直線に上がるものではなく、階段のように「伸びる→止まる→また伸びる」を繰り返します。この止まっているように見える時期を、心理学では「プラトー(学習高原)」と呼びます。

プラトー(学習高原)のグラフ
ダイヤモンド・オンライン「天才にもおとずれるプラトーの正体とは?」を参考に弊社作成

模試の判定はあくまで「今の位置」。入試本番で問われるのは「最終的にどこまで伸びたか」です。いまの数字は、未来のあなたを決めるものではありません。

ライター横川

ちなみに、高3の夏休み以降は模試がとても多いので「その模試の前に頑張ったこと」が「その模試の出題範囲」とズレていたために成績が悪くなってしまうケースも多々あります。でも本人だとなかなかそこまでは気づかないので、単に「頑張ったのに成績が悪い」と悩んでしまうんですよね。

安易に志望校を下げることで生じる3つのリスク

「現実的に考えて、もう少しレベルを下げたほうがいいかも」と思う気持ちも分かります。ただ、その判断を「一時の不安」や「目先の判定」でしてしまうのは危険です。

志望校を下げることには、次のようなリスクがあるためです。

志望校を下げることの潜在的リスク
  1. モチベーションの低下
    目標を下げることで、気持ちに妥協が生まれやすくなります。
    実際は「今の努力を続けても、下げた目標に届くかどうかギリギリ」かもしれないのに、「目標を下げたから、努力も減らしていいや」と心の深いところで思ってしまうことがあるのです。
  2. 「逃げグセ」がつく
    目標を下げる決断を一度してしまうと、次に壁にぶつかったときも「また下げよう」と考えてしまうことがあります。「どうせ目標を下げるから、最初は高めの目標にしておこう」などと考えるようになってしまうかもしれません。
    志望校を下げることが、将来の自分に「逃げる習慣」を与えることになってしまってはもったいないですね。
  3. 「成長期」を自分で打ち切ってしまう可能性
    成績が上がる直前には、必ず「伸びない時期」があります。その真っ最中に志望校を変えてしまうと、まさに「伸び始める直前」で成長を止めてしまうことになる可能性があります。

志望校を下げても解決しない問題もある

もうひとつ、冷静に考えておきたいのが「志望校を下げても、意外と勉強内容は変わらない」という点です。

例えば九大から広大に志望を「下げた」としても、どちらも国立大学です。共通テストでは6教科8科目が求められ、配点も大きくは変わりません。つまり「志望校を下げても、必要な勉強は結局同じ」なのです。

国立大学から公立大学や私立大学へ変更する場合は事情が違います。公立大学や私立大学は受験に必要な科目が少ないのが普通なので、単純に「受験に使わない科目」を作ることができ、少ない科目に集中することができるようになりますね。

志望校を下げることで何が変わり、何が変わらないのか。その線引きを冷静に見極めることが大切です。

伸び悩みの正体は「プラトー」という成長の停滞期

停滞中

模試の成績が上がらない…それは「伸びなくなった」わけではなく、「伸びる前の静けさ」かもしれません。この時期にどう行動するかが、秋以降の伸び方を大きく左右します。

成績が止まって見えるのは「力が溜まっている」から

プラトー(plateau)」とは、心理学や脳科学で使われる言葉で、成長が一時的に止まったように見える状態を指します。この時期は「頑張っているのに成果が出ない」という風に認識されます。

勉強だけでなく、スポーツや音楽でも同じで、上達のプロセスはいつも「成長 → 停滞 → 飛躍」という形を取ります。この停滞期がプラトーです。

たとえばスポーツの動き(フォーム)を修正しているとき、最初はギクシャクしていて全く結果が出ないけれど、練習を続けているとある日急にできるようになる…そんな経験、ありませんか?

勉強もまったく同じです。高校生の勉強は、1つの問題を解く際に必要な知識や思考回路が多いので、それら全てがうまくかみ合わないと結果に反映されません

つまりプラトーの時期は、新しく手に入れた色々な知識を頭の中で統合し、自在に使える形に作り替えている時期、と言えるでしょう。いわば「力を溜めている」時間なのです。

こういった学習理論に興味のある人は、あとで以下の解説記事を読んでみてはいかがでしょうか。

Sport Science Insider
Fitts & Posner's Stages of Learning – Cognitive, Associative & Autonomous – Sport Science Insider Stages of learning consider the process of how a performer transitions from an unskilled novice to an expert for a given motor skill. This might be a child

もちろん、間違った方向の努力を続けているために停滞することもあるので、「成績が停滞していれば必ずプラトーだ」とは言えないのが難しいところではありますね。それだけに、「毎日正しい方法で勉強できている」という自信が持てるかどうかは重要です。

都会と地方で異なる「プラトー」の時期

ここで述べることは、広島県呉市に拠点を置く学習塾、コムタス進学セミナーによる推測です。学術的なデータがあるわけではありませんが、現場で生徒を見てきた実感として、十分あり得る話だと思っています。呉に限らず、全国の地方都市の公立高校生に当てはまっていることなのでは、と我々は思うのです。

ここでは「プラトーが訪れる時期」には地域差があるのではないか、ということをお伝えしたいと思います。

都市部の高校生は、受験に関する情報に触れる機会も多く、勉強に対する意識の高い友人・知人が多い傾向にあります。そのため自然と受験勉強のスタートも早くなるので、高3の1学期あたり(部活の最後の追い込みで忙しい時期)に何度目かのプラトーを乗り越えて夏休みを迎える生徒が多いかもしれません。

一方、呉市のような地方都市では、どうしてもそういった情報や空気に触れる機会が多くないため、受験を意識した勉強のスタートが遅れます必然的にプラトーが訪れる時期も遅れ、ようやく「夏休みにめっちゃ頑張ったけど思ったように伸びないな」と感じるのが9月頃、という風になりやすい…のではないでしょうか。

地方都市の公立高校生の「後から追いつく」成長曲線
地方都市と都会の高校生の成長曲線の差

つまり、呉エリアの高校生が高3の夏休み明けに感じる「伸び悩み」は、伸びていないのではなく「ついに成長期に入った」サインなのかもしれません。ここで焦って勉強をやめてしまうのは、ちょうど芽が出る直前に水やりをやめるようなものです。

ライター横川

この時期を乗り越えた生徒が、秋以降にグッと成績を伸ばすケースを何度も見てきました。11月も12月も、伸びるチャンスはまだ残されています。

ちなみに「地方で学ぶ」ということは決して不利なことばかりではありません。

たとえば、ノーベル賞受賞者のほとんどは公立高校出身で、地方都市出身の人も多いです。都市部のように一直線に受験競争へ向かう環境ではなく、時に回り道をしながら思索を深められる環境が良かったのかもしれませんよ。

ですから呉の高校生の皆さんは、弱点は補う必要はありますが、自分なりの強みが必ずあるはずなので、そこは自信を持って頑張ってほしいと思います。

「あと伸び」する生徒の条件

では、このプラトーを乗り越えて「あと伸び」する生徒とは、どんな特徴があるのでしょうか。共通しているのは次の3つです。

プラトーを乗り越えて「あと伸び」する生徒の条件
  1. 強い目的意識がある
    いきなり厳しい条件なのかもしれませんが、やはり大事なのは「どうしてもその大学に行きたい」という強い気持ちです。「九大を目指していれば広大ぐらいは届くだろう」みたいな意識ではなく「○○の理由で、ぜひとも九大で学びたい」という意欲がある方が伸びます。
  2. 「今より良く」を積み重ねている
    高い目標を目指して、視線を高く持つことはもちろん大切なことですが、一方で学習とは「今知っていること」に新たな知識を付け加えていく営みであるため、一足飛びに高いところには到達できません。
    したがって、たとえば自分が九大志望だからといって、自分の今のレベルに合わない問題を解きまくってもあまり意味はありません。もしかするとまだ問題を解くべき段階ではないのかもしれないので、自分の「今」に応じた対処をすることが必要です。
    もちろん「今」に合わせすぎるあまり、目標に全く到達しないような計画になっても困りますよね。このあたりはやはり、信頼できる指導者と相談することをおすすめします。
  3. 正しい勉強法を継続している
    同じ「頑張る」でも、やり方が自己流のままだと多くの場合は伸びません。高校生になると、中学のときとは勉強方法を変えないといけない部分がありますが、そこの適応がうまくいかないと「頑張ってるけど伸びない」となりやすいです。これはプラトーではなく「やり方が悪いから伸びてないだけ」ですね。
    ちなみにコムタス進学セミナーでは、高1の段階から少しずつ「学習のモデルチェンジ」を促し、無理なく「成果の出る型」へ導いていきます。「ママフク®」などの勉強方法はその代表例です。

「ママフク®」って何だ?と思われた方は、コムタス進学セミナーの公式サイトでこちらの記事などをお読みください。【PR】

コムタス進学セミナー|広島県呉市...
「ママフク」を商標登録しました - コムタス進学セミナー|広島県呉市(呉駅前・広・焼山)で中学・高校・... このたび弊社では「ママフクⓇ」を商標登録いたしました。 「ママフクⓇ」とは、弊社で独自に行ってい

「あと伸び」を現実にするための学習戦略

ここまでお伝えしてきたように、呉市のような地方都市の高校生には「あと伸び」の余地があります。それは「伸びしろが大きい」とも言えるし、逆に「人より1ヶ月遅れて追いつかなきゃいけない」とも言えます。

この「あと伸び」を実現するための戦略についてお伝えしたいと思います。

「目標追加点」で遅れを速やかに取り戻す

「あと伸び」を狙う高校生は、言い換えると「ライバルより遅れている」わけですから、模試の判定はDとかEのことが多いでしょう。

その場合、模試の成績を見たときに大事なのは「またE判定だった」「今回はDに上がった」などという細かいことを気にするのではなく、「本来、この模試ではあと何点取るべきだったか」という観点で振り返りをすることです。

コムタス進学セミナーでは、この概念を「目標追加点」と呼んでいます。

目標追加点=今回の模試で「あと何点取りたかったか」

たとえば「あと80点取りたかった」と思うなら、その80点を何の科目に何点ずつ振り分けるのか。たとえば「数学IAに30点」と振り分けたなら、どの30点はどうやって取るのか。そういった観点で振り返りと弱点補強をしていくのです。

つまり「目標追加点」とは、「1か月の遅れを取り戻すための設計図」のようなものですね。模試判定が良かった・悪かったと一喜一憂するのではなく、次の一歩を具体的に踏み出すための考え方です。

この「目標追加点」についてのより詳しい方法や、実際の設定例についてはこちらの記事をお読みください。

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伴走者を持つことの意味

もう一つ大事なのは、「一緒に分析してくれる存在」を持つことです。

高校生にとって大学受験は初めての経験なので、「いま自分がプラトーにいるのか、やり方が間違っているのか」の判別も難しいでしょうし、そもそもプラトーという概念も分かりませんよね。

ですから、信頼できる学校の先生や、学習指導のプロである塾などに遠慮なく相談することをおすすめします。こうした指導者をいわば「伴走者」として頼ることで、「今すべきこと」「今すべきでないこと」を適切にアドバイスしてもらいましょう。

「自分で頑張る」ことももちろん大切ですが、高校生活はとても短いです。試行錯誤しすぎて変な行動を積み重ねてしまうと、卒業までに軌道修正が間に合わないということもよくあります。自分で頑張ることももちろん大切ですが、努力の方向性を正しく保つには、時に第三者の視点が必要です。

ちなみにコムタス進学セミナーでは、呉市という地方都市の高校生が直面するペースや環境を理解したうえで、一人ひとりに合った「伸び方の設計」を提案しています。焦りの時期を冷静に乗り越えるためにも、信頼できる伴走者を持つことをおすすめします。

まとめ

模試の結果が思うように出ないとき、それは伸びていないのではなく、力を溜めている途中、すなわち「プラトー」かもしれません。

特に呉市のような地方都市の高校生にとっては、高3夏から秋にかけての伸び悩みは、実は成長期に入ったサインです。焦らず、ここでの踏ん張りが冬以降の「あと伸び」につながります。

「後から追いつく」ということは、今は悪くて当たり前。したがって、判定が悪いことを悩むのではなく「あと何点取るべきだったか」を定め、復習行動に結びつけていくことが大切ですね。コムタス進学セミナーが提唱する「目標追加点」は、その行動を具体化する考え方です。

そしてもう一つ重要なのが、信頼できる伴走者を持つことです。自分では見えにくい伸びの兆しも、経験豊富な指導者なら客観的に見つけてくれます。焦りや不安を分析に変えて、次の一歩を一緒に設計してくれる存在です。

高3秋。諦めるのはまだ早い。いま静かに力を溜めている時間を信じて、もう一度前を向きましょう。春の合格は、いま踏み出した一歩の先にあります。

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模試を受けた後に「目標追加点」を定めて復習する方法についてはこちらをどうぞ。

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この記事を書いた人

呉市出身。2002年のコムタス創業期から気づけば20年以上、ずっと呉の小中高生たちと過ごしています。担当は物理・化学を中心に理科全般。苦手な子にも「ちょっと面白いかも」と思ってもらえるような授業づくりを心がけてきました。ニックネームは「ハカセ」ですが実際に博士(理学)です。

「ママフク(商標登録済)」という学習法を作ったり、自分でもその効果を試すために気象予報士試験を受けて合格したりと、いまだに実験精神は旺盛です。

プロフィール写真は、かつて一緒に暮らしていたウサギの「らん」と「まろ」。夜中に授業準備をしていると、足元で寝ていたことを今でも思い出します。

このメディアでは、勉強のこと、進路のこと、ちょっとした学びの工夫など、呉の子どもたちと向き合ってきた経験を、少しでも役立つ形でお届けできればと思っています。

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