大学入試に内申点は関係あるの?
一般入試なら内申点は必要ないんじゃない?
でも調査書っていうのがあるんでしょ?
こうした疑問を持つ高校生や保護者の方は多いのではないでしょうか。志望校がはっきり決まっている高3生の中には、受験勉強に本格的にシフトしたい一方で、定期テスト対策や内申点のことをどう考えるべきか悩んでいる人もいるでしょう。
実は大学入試における内申点(評定平均)の扱いは、一般入試・推薦入試(総合型選抜 / 学校推薦型選抜 / 指定校推薦)といった選抜方式や、国公立か私立かによって大きく異なります。
この記事では、大学入試と内申点との関係や、定期テスト対策をそのまま受験勉強につなげる方法について詳しく解説します。日々の勉強の方向性に悩んでいる高校生にぜひ読んでもらいたいです。
- 評定平均の重みは方式によって違う:学校推薦型 > 総合型 > 一般
- 呉の高校生がよく受験する大学(広大・広島国際・安田・修道など)の最新情報も確認済み
- 定期テストを投資型の学びに転換すれば、推薦も一般も選べる「勉強の軸」が完成
大学入試における内申点の基本を理解しよう

大学入試で内申点がどのように扱われるのかを知るために、混同しがちな内申点・評定平均・調査書の関係、そして入試方式ごとの違いを整理してみましょう。
そもそも内申点・評定平均とは何か
内申点とは、高校での学習成績をもとに各教科の担当教員がつける5段階の成績評価の合計を指します。定期テストの点数だけでなく、小テスト、提出物、授業態度なども含めて評価されるのが特徴です。
一方で評定平均とは「1科目あたりの内申点」のことです。つまり
という関係ですね。例えば10科目の内申点の合計が40点なら、評定平均は4.0になります。大学入試では「評定平均〇点以上」という出願条件が設けられるケースがあるため、進路選択に直結する指標となります。
調査書に書かれる内容は評定平均だけではない
大学に提出される調査書には、評定平均だけでなく、以下のような幅広い内容が含まれます。
- 出欠の記録
- 特別活動や部活動の記録
- 資格や検定などの実績
- 教員による指導上の所見
つまり大学入試の募集要項に「調査書」と書かれている場合は、見られるのは「内申点・評定平均そのもの」ではなく、「評定平均を含んだ調査書全体」です。学校の成績だけでなく、学校生活全体の姿勢が問われるということですね。
入試方式ごとの評定平均の影響度(推薦・総合型・一般)
大学入試の方式によって、評定平均の扱いは大きく変わります。
まず、文科省が全大学(国公立・私立すべて)に対して通達している「大学入学者選抜実施要項について」という通知書(PDF)があります。その令和8年版によると、以下のように定められています(要約)。
- 一般選抜
学力検査、小論文・面接・実技検査等を主な資料としつつ、調査書、志願者本人の記載する資料等を組み合わせる。 - 総合型選抜
大学教育を受けるために必要な知識等も適切に評価するため、調査書等だけではなく、学力テスト、小論文・面接・実技検査、資格試験等も必ず用いる。 - 学校推薦型選抜
調査書を主な資料としつつ、学力テスト、小論文・面接・実技検査、資格試験等も必ず用いる。
以上のことから、非常に大ざっぱに表現すると「調査書」と「学力検査」という2つの要素があり、入試方式ごとに重要度が異なっているわけです。一般入試は学力検査がメイン。学校推薦型選抜では調査書のウェイトが高い。総合型選抜はその中間といったところでしょうか。
実際に学習塾を運営している我々の肌感覚では、以下のような感じです。
- 一般選抜
調査書はほとんど影響しない。 - 総合型選抜(旧AO入試)
調査書の影響は多少あり、無視できないが、出願を諦めるほどの影響はない。 - 学校推薦型選抜(指定校・公募)
調査書というよりも評定平均の影響が大きい。出願条件として評定平均〇点以上を求める大学が多く、高い評定がなければそもそも出願できない。
このように「大学入試に内申点は関係ない」と言い切ることはできず、受験方式によっては評定平均の重要性が高くなります。
対象は高3の1学期までが基本だが…
評定平均に反映されるのは高1の1学期から高3の1学期までの成績です。高3の2学期以降の内申点は評定平均に含まれません。
つまり高3になってから一気に巻き返すことは難しいので、評定平均が気になる人は早めから定期テストの点数を取っていく姿勢が重要になります。
なお、後に述べる各種奨学金に関しては、高3の最後までの成績が反映される場合があるかもしれません。詳しくはそれぞれの募集要項を熟読するようお願いします。
呉エリアの高校生が意識したい評定と進路選択

呉市の高校生の出願先として人気の高い大学をいくつかピックアップして、実際に評定平均や調査書がどのように使われているのか、具体的なイメージをつかみましょう。
ただし学校推薦型の中でも「指定校推薦」については、一般には公開されていない情報も多いので、ここではまず公開情報をまとめていきます。
広島大・広島国際大・安田女子大などの募集要項の例
各大学の募集要項を調べると「方式ごとの調査書の点数」が明記されています。以下は2025年9月の最新情報の一例です。年度によって変動があるため、必ず公式の最新要項を確認してください。
また、ここにまとめたのは出願後の選抜試験における調査書の扱いです。出願するために必要な評定平均はこのあと別に述べます。
| 大学名 | 選抜方式 | 調査書の扱い | 調査書が占める割合 |
|---|---|---|---|
| 広島国際大学 | 学校推薦型(指定校) | 調査書50点/150点満点 | 33% |
| 学校推薦型(公募) | 調査書30点/300点満点、50点/250点満点など | 10~20% | |
| 総合型 | 調査書100点/300~400点満点 | 25~33% | |
| 一般 | 調査書なし | 0% | |
| 安田女子大学 | 学校推薦型(指定校) | 理工学部のみ調査書を利用 | 不明 |
| 自己表現型(旧AO) | 調査書50点/200点満点 | 25% | |
| 総合型 | 調査書50点/300点満点 | 17% | |
| 一般 | 理工学部のみ調査書50点/250点満点 | 25% | |
| 広島修道大学 | 学校推薦型 総合型 一般 | 「調査書は出願資格の確認および選抜の参考として活用(中略)学力の3要素全てを多面的・総合的に評価」 | 不明 |
| 広島大学 | 学校推薦型I(共通テストを課さない) | 出願書類(調査書,志望理由書,推薦書,推薦要件証明書類及びオンデマンド講義レポート)の合計が100点/400点満点 | 5%程度? |
| 学校推薦型II(共通テストを課す) | ほぼ全ての学部・学科で第1次選考のみに用い、「出願書類(調査書及び自己推薦書)を段階評価(A,B,C,Dの4段階評価)により判定」 | 1次選考のみ | |
| 一般 | 調査書なし | 0% | |
| 愛媛大学工学部 | 学校推薦型 | 調査書100点/1000点満点 | 10% |
| 総合型 | 調査書200点/600点満点 | 33% | |
| 一般(前期) | 調査書50点/1100点満点 | 5% |
このように、大学・学部・選抜方式によって調査書の点数が占める割合は色々であることが分かります。私立大学の中で広島修道大学が調査書を点数化していない(少なくとも公表していない)のは特徴的ですね。また、愛媛大学のように国公立大学の一般選抜で調査書が点数化されるのは、どちらかといえば稀なケースです。
出願に必要な評定平均については?
再度の注意となりますが、先ほど挙げた点数とは別に、私立大学の指定校推薦では「出願のために必要な評定平均」があることに注意が必要です。その具体的な数値は高校にしか知らされていないので、通っている学校の先生に聞くのが唯一の確認方法です。
ちなみに出願に必要な評定平均は、大学や学部ごとに違うのは当然ですが、同じ大学・学部でも、高校によって異なるとも言われています。例えば同じ大学の同じ学部に出願するために、A高校では評定平均が4.0必要で、B高校では3.8でよい、ということがあるらしいのです。
その理由はおそらく、高校によって生徒の学力レベルが異なるためでしょう。いわゆる難関進学校の4.0と、中堅進学校の4.0ではそもそも意味合いが違うので、一律に同じ数値にはならないでしょう。
ライター横川一般的にはMARCHクラスであれば評定平均4.0程度が目安と言われていますが、正確な数値は学校の先生に尋ねてください。
一方、国公立大学の学校推薦型選抜の場合は、出願に必要な評定平均が募集要項に明記されています。呉地域からの受験が多そうな大学をいくつか調べてみたところ、以下のようになっていました(最新の情報は必ず読者自身で調べてください)。
| 大学名 | 出願に必要な評定平均 |
|---|---|
| 島根大学 | 3.5(総合理工学部)/4.0(看護学科)/4.3(医学科) |
| 高知大学 | 3.8(農林海洋科学部・一般推薦)/4.0(医学科・地域協働学部)/4.3(専門推薦) |
| 九州工業大学 | 3.8 |
| 熊本大学 | 3.7~4.0 |
| 広島大学 | なし※ |
| 愛媛大学 | なし※ |
※大学側が評定平均を要求していない場合も、「学校長が責任をもって推薦」するのが学校推薦型選抜なので、高校内での選考をクリアするためにある程度の評定平均は必要だと思われます。
もしあなたが高1生や高2生の場合、このあたりの数値も参考にして、学校の成績をどの程度取っておくかの計画を立ててみるのもよいでしょう。
評定は奨学金のチャンスにも直結
評定(内申点)が大きな意味を持つのは、推薦入試だけではありません。
たとえば日本学生支援機構(JASSO)の給付型奨学金では「高校における全履修科目の評定平均が3.5以上」という学力基準が設けられています。
また、広島県内でも大竹市の「大竹市奨学金制度」や竹原市の「アヲハタ奨学金基金」、さらに全国規模のG-7奨学財団など、公的・民間を問わず評定平均を基準にする奨学金は少なくありません。
このように、評定が高ければ推薦入試の出願資格が得られるだけでなく、奨学金という経済的な支援のチャンスも広がります。評定は進学と学費調達の両方に関わるのだと意識しておきましょう。
日頃の勉強姿勢が将来の選択肢を広げる
すでに述べてきたように、評定平均には高1からの定期テストや授業態度が反映されます。
だからこそ、志望校や入試方式がまだ決まっていない段階でも、学校の成績をおろそかにしない姿勢が大切です。将来、指定校推薦を受けたくなるかもしれませんし、奨学金を利用したい場面が出てくるかもしれません。
ただし注意したいのは、評定平均はあくまで「出願のための条件」にすぎないという点です。出願をクリアした後には学力試験や面接などが控えており、内申点だけでは合格を勝ち取ることはできません。極端に評定平均だけを意識して過ごすと、「出願はできたが学力審査で不合格」「共通テストで得点が伸びず一般選抜に届かない」といったケースも起こり得ます。
したがって、内申点を取ることは大切ですが、それと同時に共通テストを含めた学力審査に耐えられる実力を養う必要があります。この点については、次のセクションでさらに詳しく考えていきましょう。
「テスト勉強=受験勉強」にすることが一番ラク


大学入試に内申点はどのくらい必要?と気になってこの記事を読んでいる人は、心のどこかで「定期テスト勉強と入試対策は別もの」と感じているかもしれません。
ところが正しく勉強できれば、日頃の定期テスト対策がそのまま推薦入試や一般選抜につながっていくのです。どうすればいいの?と思った人、続きを読んでください。
定期テストは推薦だけでなく一般選抜にもつながる
推薦入試を意識している人にとって、評定平均を上げるために定期テストの点数が必要なことは言うまでもありません。一方で、一般選抜を目指す人にとっても定期テストの積み重ねは無駄ではありません。
なぜなら、定期テストで出題される内容は、基本的に大学入試の土台となる教科書の範囲だからです。定期テストにしっかり取り組むことは、そのまま基礎固めになり、共通テストや二次試験の理解に直結します。つまり推薦を狙うにせよ一般入試に挑むにせよ、定期テストを軽視する理由はないのです。
勉強を「二刀流」にすると軸がぶれる
ありがちな誤解は「推薦に備えて定期テスト勉強を頑張りつつ、一般に備えて別に受験勉強もしなければ」という考え方です。こうした二刀流の発想は、勉強の軸をぶらし、かえって効率を下げます。
なぜなら、定期テストも模試も入試問題も、根本は同じ教科書や基本原理に基づいているからです。それをあたかも「別の勉強」のように切り分けてしまうと、片方の努力がもう片方に生かされず、疲労感ばかりが残ります。
一本の太い「勉強の柱」を立てることが重要
「テスト前はテスト勉強をしないといけない」
「模試の前は模試対策をしたい」
「一般入試が近づいたら一般入試対策をするんだろう」
こんなふうに思う人は多いでしょう。
高校入試まではそういう気持ちでも結構なんとかなっていたと思います。テスト1週間前から定期テスト対策!中3の夏からは受験に向けてスパート!志望校合格!そんな輝かしい成功体験をもつ人がほとんどでしょう。
ところが大学入試はそのやり方だとうまくいきません。



呉で20年以上指導してきた実感として、本心からそう感じます。
理由はシンプルです。
- 内容が難しい
数学を例に取ると、高校に入ると一次・二次関数の先に、三次関数・四次関数・三角関数・指数関数・対数関数などと範囲が一気に広がります。 - 量が多い
英単語の数だけを見ても、中学入試レベルの1500~2000語から、大学入試の共通テストでは4000~5000語へと激増。難関大ならさらに多くが必要です。
つまり、学習内容のレベルもボリュームも一気に跳ね上がるのが高校の勉強なのです。脅しているのではなく「だからこそ、大学受験に合った勉強方法に変える必要がある」と伝えたいのです。
勉強方法を変えれば、十分に対応できるのが大学入試です。
大切なのは、「定期テスト」「模試」「入試」を別物として扱うのではなく、一つの大きな柱に統合することです。教科書の内容を理解し、適切な練習を通じて応用力を磨く。このプロセスがそのまま内申点の向上にもつながり、共通テストや一般選抜の突破力にもなります。
つまり目指すべきは「推薦と一般の両立」ではなく、「一つの勉強が両方に通じる」状態です。そうすれば、努力の重複がなくなり、心身の負担を減らしながらも、推薦にも一般にも対応できる力が育っていきます。
定期テスト対策をそのまま受験に生かす勉強法とは?
ここまで見てきたように、定期テストの勉強はそのまま受験勉強に通じます。ただし注意したいのは、やり方を間違うとテストが「一時的なピーク」で終わってしまうことです。
定期テスト最大の問題は「テストが学力のピークになる」こと
多くの高校生が経験しているように、テスト前に必死で暗記しても、終わった瞬間に忘れてしまう。これでは内申点は取れても、入試本番で戦える学力にはなりません。いわば「消費型の勉強」です。



このように「テストの日が学力のピークになりやすい」というのが、定期テストという仕組みの最大の問題点だと感じます。
多くの問題に適用できる思考回路を反復する
ではどうすればいいのか。一言でいえば「多くの問題に適用できる思考回路を反復する」ことです。
- 「多くの問題に適用できる思考回路」とは?
科目や単元ごとに異なりますが、一例を挙げると「関数の最大最小を求めるときの考え方」。個別のパターンを丸暗記するよりも、「最大最小ならこの手順」と一本筋の通った考え方を持つ方がずっと効率的です。 - 「反復」とは何を繰り返すのか?
問題集を3周すればよい、という話ではありません。繰り返すべきは「問題」そのものではなく、その背後にある「思考回路」です。そこに焦点を当てて反復できるかどうかで、学力の定着度は大きく変わります。
こうした学習習慣を積み重ねれば、定期テスト対策がそのまま入試対応力につながり、「消費型の勉強」が「投資型の勉強」に変わっていきます。
もちろん、ここで触れたのはほんの入り口です。実際にコムタス進学セミナーで指導するときには、生徒一人ひとりの学力・志望校・勉強スタイルに応じて、どこからどう手直しするかを考えます。中学で染みついた勉強スタイルは一朝一夕には変わりませんが、声かけを重ねながら一進一退を経て、やがて自分の成長を実感していける。そんな指導を目指しています。
- 集団と個別、どちらも選べて組み合わせも自由
→ 自分に合ったスタイルで無理なく勉強を続けられます。 - 土日も22時以降まで使える自習室
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→ 目標や理解スピードに合わせて柔軟に対応できます。 - わからないをその場で質問できる、講師常駐の自習スタイル
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→ 総合型・学校推薦型選抜にも備えられます。 - 「何を学ぶか」だけでなく、「どう学ぶか」から指導
→ 勉強のやり方が変われば、成績も変わります。 - 小学生から始められる「京大東田式パズル」も人気
→ 楽しみながら「考える力」を自然に鍛えられます。
少しでも気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
まとめ
大学入試における内申点や評定平均の重要度は、学校推薦型・総合型・一般と方式によって異なります。しかし、どの道を選ぶにしても日頃の定期テスト勉強を「消費型」ではなく「投資型」に変えることが、将来の選択肢を広げる近道です。
「テスト勉強=受験勉強」という姿勢で取り組めば、努力の重複をなくし効率的に力を伸ばせます。そうすれば「テスト勉強と受験勉強の両立で大変」や「せっかく取った内申が無駄に」という事態も避けられるでしょう。
コムタス進学セミナーでは、普段の定期テスト勉強をそのまま入試力に変える指導を行っています。今の勉強に不安を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。ふだんの頑張りを未来につなげる方法を一緒に見つけていきましょう。
少しでも気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
内申点の他にも、大学入試では漢検・英検・数検の取得級が評価されるケースが多々あります。詳しくはこちらの記事をお読みください。


私大に出願する方法に「共通テスト利用」もあります。難易度など気になる情報はこちらの記事でご確認ください。











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